力学

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「蜘蛛の糸」を巡る力学対話

西の果ての某国立大学教養部の物理学教室の一室に、定刻になるとコーヒーの香りに誘われた人々が集まっていた。教養部廃止、大学の独法化と続いた一連の改革前の、古き良き時代の光景だが、ある日、そこで、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」が茶飲み話の話題になっ...
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天秤と竿秤を巡る科学史

どちらが重いか? 図1 大根のつりあい  昔から知られた問題だが、図1のように、大根を糸で吊るし、釣り合うところで大根を二つに切れば、切り離された二つの重さは等しいだろうか。つい、同じと答えたくなるが、実際には太い側のほうが重...
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振り子の周期

 重りの質量M 、長さL の単振子を重力の加速度の大きさがg の場所で振らしたとき、その周期T が、M,L,g によつて次のように表されると仮定してみよう。         T=kMxLygz                 ...
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宇宙の浮舟

衛星と惑星のはざまで  万有引力の法則によれば、二つの天体の間に働く引力は、天体間の距離の2乗に反比例し、二天体の質量の積に比例する。月に働く太陽と地球の引力を比較してみよう。月から太陽までの距離は、地球の公転半径とほぼ同じであるか...
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ドアクローザー

 玄関のドアを開けると、そのままにしていても、ドアはひとりでに閉まる。通常、玄関ドアには図のようなドアクローザーが取り付けてあり、その中にはバネと油による粘性抵抗が組み込まれている。 実際のドアクローザーの仕組みはもう少し複雑なようだが、ド...
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ブランコとボタフメイロ

 ブランコを自分では振れずに、公園で母親に押してもらっていた幼児もやがて自分だけで上手に振れるようになる。母親に押してもらう場合は明らかに母親が仕事をしているが、自分で振る場合は、外力が働いていないのに何が仕事をするのだろうか。 まず、幼児...
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哀愁列車

ひまわり  再び、汽車に乗り、現在の妻子のもとに去っていく初老の男。それを無言で見送るかつての妻。汽車は朝靄の中を、汽笛を鳴らしてミラノの駅をゆっくりと加速しながら離れてゆく。ヴィットリオ・デ・シーカ監督の名作「ひまわり」のラストシ...
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メダカの学校は川の中

 長崎は坂の多い街だが、大学への通勤路にも、途中に長い坂があり、一時、そこを自転車で通勤していたことがあった。往きは峠の我家から坂をくだり降りれば、大学はもう目の前、ところが帰りは大変、疲れた体でペダルを踏み、夜の坂道を登らなけれ...
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疑惑その3:悪人正機説

 犍陀多なる男、自己中心の悪人には違いないが、物理教育にとっては、大変、利用価値のある男、蜘蛛の糸が切れても、何とか助ける手立てはないものだろうか。そんなことを考えていた矢先に、数人の学生から、おかしな目撃情報が舞い込んできた。  ...
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