縁日の思い出

セピア色の記憶のなかの少年は
縁日の夜店で万華鏡を買った

カーバイドの匂いとゆらめくアセチレンの灯りのなかで
筒を回せばクルクルと移りかわり
それでいて同じ紋様は二度と現れない不思議な光の芸術が
少年になけなしの小遣いをはたかせたのだろうか

だが幻想的なその美しさにもまして
少年の好奇心をさらに強くひきつけたのは
それをつくりだす筒のなかのしくみであった

次々と際限なく現れる紋様が
たった三枚の鏡による多重反射でつくられるように
生々流転する自然界もまた
少数の極めて単純な基本法則に支配されている

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