第二をもって第一の足らざるを補う?

 「あなたのふくらはぎの筋肉はいいですね。これからもこの筋肉を維持して下さい。」 高血圧で通うことになった医院で、そこの院長先生に褒められた。ふくらはぎの筋肉が多いと病気の予防になるらしい。これも車の免許を取らず、雨にも負けず風にも負けず、下手なテニスを続け、 試合に負けてもくじけず、次には必ずと、ビールの代わりに牛乳を飲み続けてきた効果だろうか。

 ふくらはぎは第二の心臓とも呼ばれているそうだが、肝心の第一のほうは、昔から、人前で緊張する、いわゆる‘蚤の心臓’であった。引っこみ思案の小心者には、‘毛の生えた心臓’の持ち主が羨ましくてならなかったが、今回、第二ながら、ふくらはぎを褒められ、第一についても少々自信が持ててきた。

 ふくらはぎが第二の心臓なら、腸は第二の脳と呼ばれているらしい。腸内環境を乳酸菌で整えることを腸活というそうだが、第一のほうについては、 これまた、 こどもの頃から、人に言えぬコンプレックスがあった。

 記憶力が悪いので英語の単語や歴史の年代が覚えられない。想像力に乏しく、夏休みの宿題の日記や作文を書こうにも、朝起きたら晴れだったと書いたところで鉛筆が止まってしまい、それ以後、まったくアイディアが浮かばない。さらに頭の回転が遅いので、時間内に計算問題が解けない。

 前期から後期への昇格を目前に控え、最近、物忘れがひどく、もともと足らないのに、第一のほうは、年々衰えるばかり。今からでもヨーグルトを食べ続ければ、第二の脳をもって第一の足らざるを補うことができるだろうか。まさか! しかし、もはやそう思って生きていくしかないようである。

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