台風が左巻きなのはなぜ?

図1 世界の海流

 図1は世界の海洋に生じる海流(気象庁ホームぺージより)だが、北半球では右回り(時計回り)に流れ、南半球では左まわり(反時計回り)に流れる。それに対し、北半球の台風は左まわりで、南半球の台風であるサイクロンは右まわりである。海流と台風とでは、なぜ、逆回りになるのだろうか。

コリオリーの力

 昔の海戦では、敵の船を狙って大砲を撃つ場合、砲弾の軌道がはコリオリの力によって右にずれるので、敵船の少し左を狙って撃つていたという。地球の自転のため、地表面が反時計回りに回転しているので、砲弾が着弾するまでに目標の船の位置が左に回転するからである(→福済寺の床)。慣性系から見れば、砲弾は真っ直ぐ進むが、これを地上に静止して見れば、砲弾は進行方向に対して右向きの仮想的な力を受け、右に曲がるように見える。この仮想的な力をコリオリの力と呼ぶ。人が投げるボールの運動では、コリオリの力の影響はほとんど無視できるが、地球規模の運動に対しては少なからぬ影響をもたらす。北半球の海流が右回りであるのはコリオリの力のためである。

台風

 熱帯低気圧から台風がが生まれると、その周囲の空気は圧力差によって低気圧の中心に向かって吹き込もうとするが、コリオリの力によって、空気の流れは右方向にずれる。しかし、流れが右にずれると、圧力差によって空気の流れを中心方向に引き込もうとし、それを繰り返す。その様子をイメージ的に描けば下図のようになろう。

図2  低気圧のまわりの空気の流れ

  これに対し、高気圧から空気が流れだす場合にはコリオリの力によって右回りに流れ出す。コリオリーの力が問題になるのは、地球規模での運動であり、竜巻も北半球では左まわりが多いが、右まわりの竜巻もあるという。浴槽の栓を抜いたとき、水がどちらにまわりながら吸い込まれるかは、左右どちらもおこり、コリオリの力は関係しないようである。

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