sin A + sin B = 2 sin(A+B)/2・cos(A-B)/2 市は振興
sin A – sin B = 2 cos(A+B)/2・sin(A-B)/2 市引越し
cos A + cos B = 2 cos(A+B)/2・cos(A-B)/2 此処は此処
cos A – cos B =-2 sin(A+B)/2・sin(A-B)/2 子引く負け獅子
これは筆者が高校時代に、数学の中村という先生から習った、三角関数の和や差を積になおす公式の記憶法である。発案者は当時の校長の黒岩という先生だそうだが、あるとき、黒岩先生が見た映画に、ライオンどうしの喧嘩で負けたほうのライオンが自分のこどもを引きずって逃げるシーンがあり、最後の4番目の式の「子引く負け獅子」を思いつかれたとのことであった。
数学は、決して暗記科目ではないが、いわゆる丸暗記ではなく、一度、公式を導いたうえでなら、暗記することも必要であろう。長崎大学での授業で、この記憶法を学生に紹介したところ、そのうちの一人の学生だけが知っていた。聞けば、彼は筆者の出身の三潴高校に近い、別の高校の出身であった。
黒岩先生も中村先生もすでに鬼籍に入られたが、人情豊かな「ほとめき」の街、久留米を中心に筑後地方一帯の高校に50年以上受け継がれてきたこの記憶法が、今度は、異国情緒の街、長崎の地で、次の世代からまた次の世代へと50年100年と受け継がれ、さらに全国へ広まっていくことを期待したい。
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