物理量の単位
国際単位系(SI単位系)では、7つの基本量と、その用いる単位が定められている。 ①長さの単位はm(メートル)、②質量の単位はkg(キログラム)、③時間の単位はs(セカントor秒)、④電流の単位はA(アンペア)、⑤熱力学的温度の単位はK(ケルビン)、 ⑥物質量の単位はmol(モル)、そして、⑦光度の単位はcd(カンデラ)である。あらゆる物理量の単位は①~⑦の単位、またはそれらの組み合わせで表されるが、電気、熱、光を除外し、力学的な分野に限れば、物理量の単位は①~③の単位だけの組み合わせで表すことができる。
例えば、速度=距離÷時間であるから、速度の単位は ms-1 であり、加速度の単位の単位は ms-2 となる。さらに、ニュートンの運動方程式;力=質量×加速度から、力の単位は、質量の単位と加速度の単位の積であるから、 kg ms-2 となる。簡単のため、この仕事の単位を記号N(ニュートン)で表す。すなわち、N= kg ms-2 である。
力が仕事をするとエネルギーが得られるので、仕事の単位とエネルギーの単位は同じであり、それをJ(ジュール)で表す。仕事とは、物体に力が働き、物体が動いたとき、力と移動距離との積であるから、仕事やエネルギーの単位Jは、力の単位Nと長さの単位のmの積になり、J=Nm=kg m2s-2 である。仕事を時間で割った量、つまり、単位時間(1秒)当たりの仕事を仕事率と言いその単位をW(ワット)で表すと、W=kgm2s-3=Nms-1=Js-1 である。
振り子の周期
ガリレオ・ガリレイは教会の天井からつり下がった灯りの揺れるのを見て振り子の等時性を発見したと言う。長さL [m]の紐に質量M [kg]の重りが吊り下がった振り子はどのような周期で振れるかを推測してみよう。長さと重りの質量が決まれば、周期も決まるだろうか。いや、振り子は無重力空間では振れなし、重力が存在していても、月の世界と地上とでは、同じ振り子でも周期が異なるかもしれない。そこで、振り子の周期T [s]は、振り子の長さと、重りの質量 M [kg] と、振り子の置かれている場所の重力加速度g[ ms-2] によって決まり、周期は、T=kLxMygz で表されると仮定しよう。kは単位を持たない定数である。両辺の単位を比較すると、s=mx kgy (ms-2)zが成り立たなければならない。さらに右辺はm(x+z)kgys-2z となるので、これが左辺のsに等しくなるためには、x+z=0,y=0,-2z=0が成り立たなければならない。よつて、z=-1/2、x=1/2、y=0となる。つまり、振り子の振動の周期Tは重りの質量Mに依存せず、T=kL1/2g-1/2 =k(L/g)1/2 となることが分かる。つまり、振り子の周期は振り子の長さの平方根に比例することが分かるが、k の値は次元解析だけからは分からない。そこで、適当にそこらにある紐と重りを探し、長さ1mの振り子を作り、それを振らせ、その周期を測定すると、約2秒となるだろう。次元解析で求めた振り子の周期の式に、T=2s、L=1m、g=9.8 ms-2を代入し、kの値を求めると、k=6.26となる。kの理論値は2πであるが、振り子の長さと周期を正確に測定すれば、k の値は2πに近づくだろう。
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