フーリェ級数のための準備
次の三角関数の概形はどうなるかを考えてみよう。
, , , ・・・
, , , ・・・
無限個の関数の系;
=1, , , , ・・・,, ・・・
, , ,・・・, , ・・・,
について、次のことが成り立つ。
①関数系から異なる二つの関数を選び、その積を-πからπまで積分すると、その値は0になる。
②関数系から定数1以外の関数を選び、その2乗を-πからπまで積分すると、その値はπになる。
-πからπの範囲で定義された正則な関数 が上記の関数系で展開できるとき、すなわち、
と表わすことができるとき、および、の関数からなる関数系は完全系であるという。定数と余弦関数および正弦関数からなる上記の関数系が完全系であるという前提のもとに議論を進めることにする。
(1-6)式の両辺をで、からまで積分すれば、右辺は定数項だけが残るので、
と表わされる。次に、(1-6)式の両辺にをかけて積分すれば、右辺はの項以外はすべて消えるので、
となる。同様にして、正弦項の係数も
となる。(1-6)を関数のフーリェ級数展開と呼び、各項の展開係数はそれぞれ、(1-7)(1-8)(1-9)で表わされる。関数が偶関数または奇関数の場合のフーリェ級数展開はもう少し簡単になる。
偶関数のフーリェ級数展開
が偶関数のとき、(1-9)式の右辺の被積分項は偶関数と奇関数の積であるから奇関数となり、それを-πからπの範囲で積分すれば、整数に関係なく0となる。よつて、この場合のフーリェ級数は定数項と余弦項だけで表わされる。
(1-10)
と表わされる。フーリェ係数はそれぞれ
(1-11)
(1-12)
となる。
奇関数のフーリェ級数展開
奇関数と奇関数の積は偶関数、奇関数と偶関数の積は奇関数だから、この場合は正弦関数だけが残る。
(1-13)
(1-14)
となる。
例題次の関数を区間でフーリェ級数に展開せよ。
は奇関数だから、(14)式より
これはが偶数のとき0となる。が奇数のとき、
つまり、,, ,…これを(13)式に代入すると、
(1-15)
となる。
[課題] (1-15)式の右辺を、第2項までの和、第3項までの和と、項数を増やしていくごとに 、左辺の関数に近づくことをエクセルを用いて数値計算して確認すること。また、(1-15)から次の式が成り立つことを示せ。
コメント