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思い出

ゲンコツ先生の思い出

昭和二十八年、小学校三年生だった筆者のクラスの担任教師は白髪まじりの坊主頭で、当時もまだカーキー色の国民服を着ていた男の先生であった。算数の宿題を故意に忘れていた筆者は、その先生からよくゲンコツを見舞われたものだが、この年の六月に筑後川が氾...
思い出

文学で綴るエントロピー

まるで幽霊のように、われわれの体も、そして地球も、あらゆる障害物をすり抜けることのできる不思議な素粒子ニュートリノ、物質とほとんど相互作用をしないため、検出するのが難しく、さらに質量を持つかどうかも、最近まで不確かであったこの素粒子に広大な...
蜘蛛の糸

芥川小説「蜘蛛の糸」のルーツ

蜘蛛の糸の真相なるものをいくつか紹介したが、いずれも、知ったかぶりの憶測を、「蜘蛛の糸」の作者は嘆いているだろうか、それとも怒っているだろうか。急速な科学の進歩と目まぐるしい社会の変革のなかで、世の価値観が多様化した時代に、今なお、自己の作...
力学

疑惑その3:悪人正機説

犍陀多なる男、自己中心の悪人には違いないが、物理教育にとっては、大変、利用価値のある男、蜘蛛の糸が切れても、何とか助ける手立てはないものだろうか。そんなことを考えていた矢先に、数人の学生から、おかしな目撃情報が舞い込んできた。 最近、あちこ...
蜘蛛の糸

疑惑その2:捏造説

詭弁(きべん)を弄して人をたぶらかし、馬鹿げた話を、さも、まことしやかに吹聴する輩(やから)は、いつの世にも跡を絶たぬものだが、お釈迦様がプッツンしただの、キレタのと、根も葉もない下司の勘ぐりを、今度はどこの罰当たりが触れ回っているのだろう...
蜘蛛の糸

疑惑その1:冤罪説

こう多くては、見ただけでうんざりするのに、山と積んだ悪業(あくごう)のなかから、唯一、紛れ込んでいた芥子粒ほどの善業(ぜんごう)を探し出し、蜘蛛の糸を垂らしてくれたお釈迦様は、この物語の主人公、犍陀多(かんだた)にとって、まさに地獄で仏。 ...
蜘蛛の糸

宇宙の誕生と芥川文学「蜘蛛の糸」

宇宙、古代社会、そして・・・ 宇宙は、初期における密度のゆらぎから現在の姿に成長したという。地球や月はもちろん、太陽も星さえも存在せず、宇宙がビッグバンから生まれてまだ間もないころ、混沌とした世界にわずかな密度差が生じると、物質密度の濃いと...
大学院入試過去問

ミツバチの神経衰弱

一本の株に一匹のミツバチが蜜を求めてやって来たとしよう。その株には多数の花が咲いていて、蜜が溜まっている花とすでに蜜がとられて空になった花とがある割合で存在していたとする。 ミツバチが花から花へ移りながら蜜を集めるとき、一度訪れた花を記憶し...
茶飲み話

カメの目覚め

不覚にも、途中、居眠りし、カメとの競争に敗れたイソップ物語のウサギはあまりにも度が過ぎたようだが、少々居眠りしたぐらいで、ウサギがカメに負けるとは考え難い。しかし、居眠りしたのが、ウサギではなく、カメのほうだったとしたら、結果は明白であろう...
茶飲み話

ごんべぇの種蒔き

ホームページ開設にあたって なにやら両手にかかげ、絶叫しながら、大通りを駆け抜けた裸の男がいた。りんごの落ちるのを見て、突如、思索に没頭した青年がいた。 今、若者の知的好奇心は、あり余る物質的豊かさのなかに埋没してしまったのだろうか。それと...