太陽定数
大気圏外で太陽光に垂直に向けられた平面が、1m2当たり、1秒間(1s)に受ける太陽エネルギーの量は1.366×103J だから、1.366×103 Js-1m-2 または1.366×103 Wm-2 を太陽定数という。太陽エネルギーは四方八方に等しく放出されている。太陽から地球までの平均距離rを1天文単位とよび、その値は 約1.50×1011m である。太陽を中心とした半径rの球を考えると、その球の表面積は 4πr2 である。太陽が宇宙空間に放出しているエネルギーは、太陽定数×4πr2 に等しい。これを計算すると3.9×1026 W となる。つまり、太陽は1秒間あたり3.9×1026 J のエネルギーを放出している。
人のエネルギー放出量
人の1日当たりのエネルギー摂取量は約2000kcalである。1calは4.2 J であるから、人は1日当たり8400kJの栄養を食物から、摂取している。人は、このエネルギーを24時間で体外に放出しているので、人の発熱量は8400kJ÷24h=8.4×106J ÷(24×60×60s)となり、これを計算すると、97 Wとなる。人は約100 Wの電熱器と考えてよい。それに対して太陽は 3.9×1026 W だから、太陽の発熱量は人の発熱量の約4×1024倍となる。ところが太陽の質量は2×1030kg、人の質量を60kgとすると、太陽の質量は人の質量の約3×1028倍となる。太陽は人の3×1028倍の質量を持ちながら、その発熱量は人の4×1024倍しかない。つまり、人と太陽の発熱量を単位質量当たりで比較すると、太陽の発熱量は人の発熱量の1万分の1と極めて小さい。
石炭が燃えて太陽が輝いているとしたら
質量が2×1030kgの太陽がすべて石炭でできているとすれば、 石炭1kgの熱量は2×107J であるから、太陽は 4×1037J のエネルギーを持つことになる。現在、 太陽は1秒間に3.9×1026 J のエネルギーを放出しているので、石炭でできた太陽が燃え尽きるまでの時間は 1011 秒となる。1年は約3× 107 秒であるから、石炭でできておれば太陽は僅か3000年ぐらいで燃え尽きることになる。
太陽の質量欠損
アインシュタインの相対論によれば、エネルギーも質量を持つ。エネルギーをE、その質量をmとすれば、有名な等式 E=mc2 が成り立つ。ここで、 c は光の速度で、その値は、3×108ms-1 である。この式を用いて太陽が 1秒間に放出しているエネルギーを質量に換算すると、3.9×1026J=m×(3×108ms-1)2 からm=4.3×109 kgとなる。つまり、太陽は1秒間に430万トンずつ軽くなっている。それでも、 太陽が誕生してから現在までの50億年間に失った質量は太陽の質量の0.04パーセントにすぎない。
コメント
太陽定数に関連して、ダイソン球についても言及されるとよいかと。