積分∫0→∞[xe-x/(ex-e-x)]dx

大学院入試過去問より 
積分値を求めよという問題である。いきなり解くのは難しいが、この問題を解くのに次式を証明なしに使ってもよいとして与えられていた。 これは大きなヒントとなる。(1)式のなかの被積分関数を無限級数に展開すればよいことが分かろう。つまり、のように級数展開して、さらに積分と和の順序を交換すれば右辺の各項に部分積分を行うととなるから、(2)式を用いてと求められる。
蛇足1
 問題は完全に解けたことになるが、積分(1)と類似した次の積分を考えてみよう。計算方法は(1)と同じだが、今度は、部分積分を3回行わなければならない。そして、(2)式に代わるヒントは次式で与えられる。あとは(1)式の積分と同じような方法で計算すればよい。
蛇足2
 ヒントとして与えられた無限級数(2)および(7)の値はフーリエ級数から求められるが、一般に複素数sに対して定義された次の関数、をゼータ関数と呼ばれている。ゼータ関数は、数学の未解決問題であるリーマン予想にも登場する。数年前、NHKでリーマン予想が放映されたが、「数学の道に進まなくてよかった! 物理学にしておいて、まだよかった!」世紀の難問の研究にとりつかれた数学者たちの映像を見たときの偽らざる感想である。物理で使うゼータ関数は、出てきてもせいぜいζ(2)やζ(4)のように、複素変数sが整数の場合しか出てこないからである。
蛇足3
 蛇足1での(6)式のなかの被積分関数は量子力学のプランクの公式でもあり、物理にとっては極めて重要な式である。プランクの公式の導出法についてはまたの機会に。

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