四国巡礼、歴史と文化と自然の旅

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あーいー、父(とと)さんの名は阿波の十郎兵衛、母(かか)さんの名はおゆみと申します
 
 
 ヤミ米に配給、そんな言葉が、まだ日常会話のなかでもとびかっていた、戦後、間もない頃、火鉢のそばで配給のタバコを吹かせながら、明治3年生まれの祖父が、なんども話してくれた人形浄瑠璃「傾城阿波の鳴門 巡礼歌の段」、親を尋ねて一人巡礼の旅にでた年端もいかない少女おつるの悲しい物語である。
 そんなとき、筆者が吸いたいとねだったのだろう、祖父はまだ三歳の孫に一口だけ、タバコを吸わせてくれた。当然、強烈にむせたが、幼児時代のその体験がトラウマになったのか、筆者はそれ以来、今も禁煙を続けている。そして、93歳の長寿を全うした祖父も亡くなって早50年。今回、徳島大学での日本物理学会のさい、阿波十郎兵衛屋敷を訪ねることができた。
 八十八ヶ所巡りとまではいかないが、神戸から淡路島を経て、徳島に入り、祖谷渓谷、金毘羅と、定年退職後に辿った四国東北部巡礼の旅を紹介しよう。
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徳島側から見た大鳴門橋
 神戸からバスで明石海峡大橋を渡り、正午近くに鳴門海峡に架かる大鳴門橋に着いた。バスを降り、ふと見上げると、西の空には下弦の月。この日(2013.9.26)は中秋の名月から丁度1週間過ぎ、大潮と大潮の間の小潮、鳴門の渦潮を見物するには時期が悪い。徳島で学会を開催するなら、主催者も気を利かせて、観光を兼ね、年金を削って自費参加する我々退職者のために、小潮でなく、大潮の時期に合わせてくれればよいのに。しかし、渦の道の入口案内には「今日は中潮」と書いてあった。さすが鳴門海峡には小潮などないらしい。
 
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大鳴門橋の内部
 橋げたの下には観潮のための有料の遊歩道「渦の道」がつくられている。風が吹き抜けるトラス構造のなかに入ると、車が上を走る音で、ゴーン、ゴーンと、まるでボウリング場のよう。
 
 
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大鳴門橋から山道を徒歩10分。古代壁画から現代絵画まで、1000点以上の世界の名画が鑑賞できる大塚国際美術館
 昼食後、順路にしたがい古代の壁画から見始めたが、ルネッサンスあたりで、午後5時の閉館時間が迫ったことを告げる場内放送。慌てて回るも、ゲルニカまでは辿りつけなかった。全部見るには、優に1日はかかる膨大な数の実物大の絵画だが、すべて陶板画である。そのため、劣化することはなく、写真撮影も自由。団体さんを引き連れた男性のガイドさんが、なんと、ダビンチのあの壁画にレーザーポインターを当てながら、どの人物が裏切り者のユダかを説明していた。他の美術館では考えられない光景である。(2013.9.26)
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    国外に出かけなくても、世界の名画が見放題!
    実物そっくりでも実物そのものではないが、千年、二千年が経過
    したとき、劣化していない陶板画と、原画とはいえ修復に修復を
    加えたものとでは、どちらが、本物と言えるだろうか。そんな余
    計なことを考えながら鑑賞していたら、閉館の時間になってしま
    った。
       入館券3150円、前売り券なら3000円
       休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日)
 次の日、27日は午前中、物理教育分科会での発表のため学会に出席。今回も、例によって、まだ「入り」が、まばらな、朝一番の発表だったが、今度は、多少、関心を持って貰えたようである。ちなみに発表の内容は、昔のポッチャン便所から思いついた「熱現象の力学模型」、熱機関やヒートポンプのしくみを、ものの落下と跳ね上がりに準えて理解しようという教育の試み。午後は、前述の阿波の十郎兵衛屋敷。そして、翌28日は大歩危小歩危の秘境祖谷渓谷。
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 ガイドさんの案内によれば、大歩危小歩危のいわれは、大股で歩いても小股で歩いても危険な所という意味だそうである。それなら中股で普通に歩けばよいのだろう。
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 救命胴着を付け、祖谷渓谷を船でいく。両岸は、積み上げた石の板が荷崩れを起こしたかのように斜め45度に傾いた結晶片岩。
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平家屋敷民俗資料館
 
 
 
 
 
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祖谷のかずら橋ゃ ゆらゆら揺れど 主(ぬし)と手を引きゃ 怖くない

都思えば 月さえ曇る 飛んでゆきたや あの空へ

 徳島県民謡「祖谷の粉ひき唄」に切々と歌われている祖谷のかずら橋(2013.9.28撮影)
 
 都を追われた平家の落人も、いつか帰れる日を夢見て渡ったのだろうか。人里離れた秘境の地で悠久の時を揺れ続けてきたかずら橋は、今、観光客で賑わい、もうすぐ紅葉の季節になると、渡るのに数時間待ちの行列ができるという。
 
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 断崖から放尿する祖谷の小便小僧 
記念にと、一緒に並んでツレションしたくても、
下は目も眩む千尋の谷底、これでは命綱でもなくてはとても。
  日付は変わって29日。旅行もいよいよ最終日
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     日本最古の芝居小屋 旧金毘羅大芝居(金丸座)
 毎年、春には「四国こんぴら歌舞伎大芝居」があり、最近亡くなった勘三郎や、「国税局の黒崎さん」こと、愛之助なども公演にきたという。説明係のオジサンが勘三郎とのツーショットの写真を嬉しそうに見せてくれた。
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             「奈落」とよばれる舞台下

歌舞伎公演のときは、地元の青年団が、ここで汗だくになって廻り舞台を廻すという。
中央の太い柱が廻り舞台を支えている支柱。
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延々と続く「こんぴらさん」表参道の石段
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途中でとうとう竹の杖を借りてしまった。
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JR琴平駅
あとは岡山を経由して長崎に向かうだけ。
最近、HPにしばらくUPしていないので、「死んだ」と間違えられないように、帰ったら頑張って更新しなきゃ。
 今回の旅行は同行した妻がすべて計画を立てた。そして、早くも、彼女の関心事は「次の学会、いつどこ?」

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