宇宙人とウィルスと環境問題

 もしも、宇宙人が地球に攻めて来たら、世界は結束して人類共通の敵に立ち向かい、有史以来これまで、人類どうしで殺し合ってきた長い戦争の歴史に終止符を打つことができるに違いない。戦後の東西冷戦のさなかに語られていた宇宙人待望論である。 それまでとは桁違いのメガトン級の大気圏内核実験とそれに伴う放射能汚染、そして大陸間弾道弾の開発と、 世界の大国が軍拡競争にしのぎを削っていた時代のことである。

 今日明日にでも、核の時計が世界の終末を告げるかも知れないという恐怖の時代から、60年以上が経過し、襲来した人類共通の敵は、宇宙人ではなく、新型コロナウィルスであったが、もしもの事態は現実となり、今、ウィルスが世界を震撼させている。都会の灯は消え、世界は経済危機に直面し、平和の祭典であるオリンピック・パラリンピックの開催までが危ぶまれる状況にあるが、ここで世界全体がワンチームとなって協力関係を築き、今回の未曽有の難局を乗り切るなら、 仮に東京五輪が中止になったとしても、 今後の世界平和にとって、オリンピック以上の大きな意義があろう。

 人の往来がグローバル化した現代、感染症は 対岸の火事ではなくなった。世界全体がウィルス情報を共有し合い、 その被害を最小限に食い止めなければならないが、ウィルス騒動の蔭に隠れ、忘れられがちな、もう一つの難敵、地球温暖化をはじめとする地球の環境破壊が進行している。もはや国家どうしがいがみ合っている余裕はない。これを機に、人類どうしの無益な争いをやめ、人類の存在を脅かしている、二つの敵にどう対処するか、人間の叡智が試されるときであろう。

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