足枷を付けられたニュートン力学

 ニュートン力学は、その適用範囲であれば、そこには、一切、欠陥も盲点も存在しない。運動方程式を正しくつくることができれば、あとは数学を適用して計算すれば、正しい答えが得られる。ニュートン力学は完璧である。少なくとも40年前に、アメリカでpseudowork説(Am.J.Phys.51(7),July1983)が発表されるまではそうであった。しかし、pseudoworkは、完璧なニュートン力学に「抗力は仕事をしない」という、謂われなき足枷をつけてしまったようである。これではニュートン力学はその適用範囲が極めて制限され、ほぼ質点の運動に制限されてしまう。抗力はエネルギーを生み出さないことは自明である。しかし、だからと言って、抗力のする仕事を一切否定しては、ニュートン力学はテニスやゴルフボールのバウンドや、車や自転車が道路を走れるのも、ブランコを自力で漕げる理由も、日常のありふれた現象が説明できなくなる。pseudowork説は、先入観に囚われ、科学の歴史に逆行したの間違った学説である。物理教育が40年間のpseudowork説の呪縛から解放されたとき、ニュートン力学の足枷は取れ、ニュートン力学は日常の力学現象を説明するのに本来の威力を発揮できよう。

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