図1のように円に内接する四辺形ABCDの四つの辺の長さ、AB、BC、CD、DAと二つの対角線の長さ、AC、BDの間には、次の等式が成り立つ。
AB×CD+AD×BC =AC×BD (1)
これはトレミーの定理と呼ばれている。
なお、トレミーとは、惑星の運動を天動説で説明するために周転円という考えを取り入れた古代ギリシャの天文学者クラウディオス・プトレマイオスのことであり、この定理はプトレマイオスの定理とも呼ばれる。
証明
円の半径は本質的でないから、円は単位円(半径1の円)とする。四角形の各辺は単位円の弦でもあるので、図2のように、弦ABの中心角を2αとすれば、
AB=2sinα (2)
となる。同様に、BC、CD、DAの中心角を、それぞれ、2β、2γ、2δとすると、
BC=2sinβ (3)
CD=2sinγ (4)
DA=2sinδ (5)
となる。
また、弦ACの中心角は2(α+β)、弦BDの中心角は2(α+δ)であるから、
AC=2sin(α+β) (6)
BD=2sin(α+δ) (7)
であり、さらに、α、β、γ、δは次の関係を満たす。
α+β+γ+δ=π (8)
ここまで準備しておけば、(1)式は、以下のように三角関数の和と差の公式を使って計算すれば導かれる。
式(2)~(5)より、
AB×CD+BC×DA=4(sinα・sinγ+sinβ・sinδ)
=-2[cos(α+γ)-cos(α-γ)+cos(β+δ)-cos(β-δ)]
ここで、(8)より、α+γ=π-(β+δ)であるから、cos(α+γ)=-cos(β+δ)
よって、
AB×CD+BC×DA=2[cos(α-γ)+cos(β-δ)]
=4{cos[(α+β-γ-δ)/2]cos[(α+δ-β-γ)/2]}
=4{cos[(2(α+β)-π)/2]cos[(2(α+δ)-π)/2]}
=4{cos[(α+β)-π/2]cos[(α+δ)-π/2]}
=4sin(α+β)sin(α+δ)
=AC×BD
証明終わり
複素解析によるトレミーの定理の証明はコチラ→トレミーの定理と複素解析
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