ひょっこりひょうたん島

 昔、NHKで放映された井上ひさし作の人気アニメ、ひょっこりひょうたん島では、なんと島が船のように走りますが、このアニメが作られるほんの数十年前、陸地が動くことを予言していた人がいました。ドイツの気象学者で冒険家のアルフレッド・ウェゲナー (1880~1930)です。
   
  世界地図
 日本で使う世界地図は、ほとんどが日付変更線が真ん中にくるように作られていますが、大西洋を中心に描かれたこの世界地図を見て何か気づきませんか。
 現在の大陸の形と、古生物の分布から、ウェゲナーは、昔、一つの大陸が分裂し、動いて、現在の複数の大陸となったと考えました。
 初めは、ほとんど誰も信じませんでした。「大陸が動くなんて!そんな馬鹿な?」 ウェゲナーはグリーンランド探検中に行方不明になりましたが、その後、海洋の調査が進むと、海底が動いている証拠が見つかりました。島や陸地や海底が動いていたのです。
 海底の岩石の磁化の研究は、二つのことを同時に明らかにしました。海底が動いているということと、そして、もう一つは地球磁場の磁極がこれまで逆転を繰り返してきたということです。
 近くに磁石や磁性体がなければ、方位磁石のN極は北を指しますが、これは地球自体が一つの巨大な磁石になっていて、現在は、地球の北極にS極があるために、磁針のN極を引きつけるのです。当然、地球の南極はN極になっていることになります。
 地球の北極がS極、南極がN極、これは太古の昔から変わらなかったのでしょうか。しかし、海洋調査は驚くべき結果となりました。地球磁場の向きは数十万年ごとに逆転して、それが海底の岩石に記録されていたのです。
マントル対流
 
 では、島や大陸や改定を動かしている力はなにか。地球の内部構造は地震波の研究から分かっていいます。地球は中心から外に向かって、固体の内核、液体の外核、固体のマントル、そして地殻からなっていると考えられています。
 マントルは固体ですが、長い時間では流体のようにふるまいます。地球の中心部は高温であるので、マントルはゆっくりと対流を起こしているのです。海嶺でマントルは地球内部から上昇し、海溝で内部に沈み込んでいきます。
 海嶺では、マントルの間から湧き上っていた溶岩が冷やされて岩石となり、新たな地殻を創りますが、溶岩は鉄分を含んでいるので、冷やされるときに磁化します。磁化の方向はその時代の地球時期の方向にになります。いったん磁化されると、再び温度が上がらない限り、その向きは地球磁場が変化しても変わりません。
 海底の地殻は、それができたときの地球磁場の向きを記憶したまま、マントルの移動に引きずられ水平方向に移動し、海溝のところで沈み込んでいたのです。
 ヒマラヤの頂上では、昔から貝殻が発見されていましたが、これはインド大陸が北上してユーラシア大陸に衝突し、そこが盛り上がってヒマラヤ山脈ができたと考えれば、貝殻の存在が良く説明できます。ヒマラヤの高さは現在でも年間数センチメートルずつ高くなっているそうです。
 

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