オイラーが泣いている

 生徒にジャイロ効果を体験させるために地球ゴマを買った。その説明書にはいろいろな面白い遊び方が書いてあったが、ふと、説明書のトップに書かれた登録商標を見ると、「遠心力応用科学教育玩具地球ゴマ」と書かれてあった。いくら登録商標だと言っても、これでは、生徒は、ジャイロ効果が遠心力で説明できると勘違いしないだろうか。
 ところが、いくつかの啓蒙書やインターネットにも、回っているコマは遠心力によって倒れないという説明が見受けられる。遠心力によって四方八方に引っ張られているから倒れないというのである。運動方程式を使わずに直観的で極めて分り易い説明だが、解析力学を学んだことがあるなら、それが間違いであることは容易に分かろう。初心者にコマが倒れない理由を説明するのは面倒で困難なことではあるが、こんなごまかした説明では、剛体の回転を論じたレオンハルト・オイラーも泣いていよう。
 1991年の大学設置基準の大綱化によって、大学の基礎分野の単位数と教員数が激減し、それ以降の「肉なし野菜炒め的教育」の、恐れていた「成果」が、20年が経過した今、現れ始めたのだろうか。(野菜炒めの思い出参照)

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